北大西洋条約機構(NATO)のマーク・ルッテ事務総長は今月12日、ブリュッセルのシンクタンク「カーネギー・ヨーロッパ」が主催したシンポジウムで「NATOは戦争を回避するためにより多くの国防費を支出しなければならない」(To Prevent War, NATO Must Spend More)と題する基調講演を行った。ルッテ事務局長はこの中で、NATO加盟国に「戦時的思考」への移行を呼びかけ、国防産業の生産と国防支出を大幅に急増させることで、抑止力を高め、自由で民主的な生活スタイルを守る必要があると呼びかけた。ルッテ事務総長はまた、各国は中国の野心の拡張を直視すべきであり、中国はその軍事力を急速に高めると同時に、「台湾いじめ」(bullying)を継続していると指摘した。講演後の質疑応答では、ロシアとウクライナが和平交渉を行い、ロシアが有利な立場に立つことがあれば、中国もこれに追随して台湾を「むしばむ」(nibble)ことになるだろうと警戒を呼び掛けた。
ルッテ事務局長が講演を行うのは、今年10月1日の就任後初めてのこと。ルッテ事務局長はこの講演の中で、中国による勢力拡大の本質と手段、それに台湾に対する侵略的野心を明確に指摘し、各国に対して中国、ロシア、北朝鮮、イランが平和と安全という国際秩序に挑戦していることを直視すべきだと呼びかけた。覇権主義国家がその勢力を海外に向けて拡大し、侵略的野心をむき出しにする中で、ルッテ事務局長の発言は極めて大きな意義を持つものとなった。
これを受けて外交部は14日にニュースリリースを発表し、「覇権国家同士が連携を強化し、地域の平和と安定、国際秩序を破壊する中、台湾は国際社会の責任ある民主的一員として、G7やNATOなど近い理念を持つパートナーと引き続き協力し、共同で台湾海峡及び地域の平和、安定、繁栄を守っていきたい」とするコメントを寄せた。